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20080713 0238 松に宿する男の噺 |
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久々に寝る前に妄想文でも書いてから寝るとするかー
最近寝起きに疲労感を感じることが続いているので今日は三時前くらいに寝ようかなぁ。起きた時全身プルプルしてますよぅ。そして日中の集中力の欠如、ハンパなす。 それでは書くか。 暑さも酣、蝉の鳴くのが一層五月蝿く感じられる晩夏の事である。 茜の空がようやっと藍泥む頃、一人の旅人風の男が駿州の山中に在った。 「今夜は野宿になってしまうか」 山が崩れて崖となった道の上から、男は絶壁を見下ろした。 真下には幾重にも茂る杉が黒々とざわつき、急流の川のように見えた。 その谷から前方に伸びる杉の斜面を見越し、夕陽に眩しい田畑の中に今朝発った集落が豆のように見えた。 立ち上る湯気か煙か、家々から見えた柔らかな曲線の薄靄が、まるでその匂いまでこちらに届かんとするように伸びていた。 男は削れた道の端をにじる様に進むと、悠々と枝を広げた一本の巨木の松に辿り着いた。 今夜はここを宿としようと、松の前で手を合わせる。 「世話んなりますよ。」 地面に波打つように敷かれた柔らかな根元に腰を下ろし、未だ暮れ惜しむ空にゆっくりと息を吐いた。 鱗の雲のずっと向こうに、富士の山が見える。 別れも告げずに飛び出してきた故郷に、とうに捨てたはずの哀愁を感じた。 ―富士は、何より高く、いつも蒼く澄み、山頂は夏の間も雪が降る。― 幻想的ですらある厳かな富士が、男は好きであった。 富士を見ていると、その向こうにあった物が全て幻の世界であったかのように潤んだのであった。 視線を数歩先まで戻せば、藍を含んだ地面がぱっくりと口を開けている。 男は足下に落ちていたまつぼっくりを拾い、それを砂利ごと崖へと投げ込んだ。 ぱらぱらと音を立てて砂粒が散っていく。むき出しになった松の根に、まつぼっくりがケンケンと音を立ててぶつかった。 底の見えない暗い谷に落ちていったと男が思ったそれは、競り出た岩肌にぴったりと張り付いて、男より少し低い安定した視線から富士を望んでいた。 硬く乾燥したその場所で、果たしてそれは芽吹くであろうか。 男は冷たくなってきた風に小さく身震いをすると、明日は雨がくるだろう、と思った。 了 |
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